
乳房にしこりができたと思って来られる方の多くは乳腺症が原因でできるものや線維腺腫という良性のしこりです。しかし、乳房のしこりは乳がんの可能性もあります。
しこりが乳がんでなくても治療や経過観察が必要な場合もありますので、乳房のしこりを自覚されたら、すぐに受診されることをお勧めします。
乳房に痛みがあって来られる方のほとんどが乳腺症の症状としての痛みです。
乳がんは痛みを感じない場合のほうが多いです。しかし、乳がんが大きくなると痛みを伴う場合もあり、痛いので乳がんではないということではありませんので、乳房に痛みや違和感など何か症状がある場合は受診されることをお勧めします。
40歳以上の女性に対して、2年に1回マンモグラフィと視触診による乳癌検診を受けるようにという国の指針があります。
全国の市町村では、その方針の下に乳癌検診事業を行っています。
40歳以上の方はマンモグラフィ撮影による検診を2年に1回受けられることをお勧めします。ただし、40歳から50歳くらいの閉経前の方の場合、マンモグラフィで乳房の影が全体的に真っ白く映り、乳がんのしこりの影を判別するのが難しいことがあります。そのような方は乳房超音波検査(乳腺エコー)を同時に受けられることで、マンモグラフィでは見つからなかった乳がんが見つけることができる場合があります。
また、血縁に乳癌の方がおられる場合は、40歳未満でも乳がん検診を受けられた方が良いでしょう。
2年に1回のがん検診の場合、がんが見つかった時にすでにある程度大きくなってしまっていることがあり得ます。
触診による自己検診とマンモグラフィや乳房超音波による1年に1回の自主的な検診をお勧めします。
乳がん検診では受診者の約5%が精密検査を必要とし、そのうち乳がんが発見されるのは0.2%程度です。
大部分の人は乳がんではありませんが、指示された場合は必ず精密検査を受けてください。
乳がん検診は症状のない人が対象です。
乳房に何らかの症状がある人は検診を待たずに、なるべく早く受診されることをお勧めします。
遺伝する乳癌はあります。ただし、乳癌全体の5%以下で頻度的には多くはありません。
血縁に乳癌の方がおられると、乳癌の発症リスクは高くなります。遺伝によるものだけではなく、食生活など生活習慣が関与していると思われます。血縁に乳癌の方がおられる場合は、より注意をして自己検診およびマンモグラフィ検診や乳房超音波による検診を受けられることをお勧めします。